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養母の凄い人生

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進路
 中学卒業後は高校へ行く気持ちはさらさらありませんでした。
その頃の親友が中学校を卒業したら憧れのバスガイドになりたいと、いつも休み時間になると夢を見るような眼差しで身振り手ぶりよろしくガイドの真似をしたり歌ったりしてクラスの皆を楽しませるのを見ながら、私もついつい自分の将来をきれいな着物をきてお華や日舞のお稽古に通うお嬢様のような自分を夢見ていたのでした。

 その頃はまだ気がつきませんでしたが私がいつも空想していた姿は母が姉に求め続けたものだったのです。
親に経済力も学歴も無く自分自身も勉強が嫌いで夢中になれるような趣味もなく、親からも諦められている子供の行く道はただ世間の荒波に流されてゆくだけです。 しかし進路を決めなければならない頃になると両親は高校進学を私に義務付けたのでした。 それまでは私の勉強嫌いを諦めの気持ちで居た母まで「お父さんの顔が立たないから高校へ行って」と言うのです。 

 そのわけはこうなのです。
母が一人で私たちを育てていた時に姉をお金のかかる私立の中学校へ行かせる事が出来たのに父がいる今、私が高校へ行かなければ父にかいしょが無いように世間から見られると言うのが母の言い分でした。 私は反抗期の真っ只中でしたので「そう見えるのではく、その通りでしょ、こんな貧乏な中から高校へなんか行きたくない」というと父は「頼むから行ってくれ」と頭を下げるのでした。 そうして「高校へ行ってお父さんのボーナスが出たら褒美として千円上げるから」というのです。 その頃の千円は大金でした、なにしろ菓子パンが10円の時代ですから。
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COMMENT
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 管理人のみ閲覧
 
  • 無題
  • from: まりる♪
文体が綺麗で読みやすく一片の小説のようで思わず一気読みいたしました。
日本の女性はなんと美しく凛々しいのかと感動しました。
貴重な昭和の記録にも思えます。

お忙しい日々であられると思いますが、のんびりお待ちしておりますので更新されますのをこれからも楽しみにしております。
  • まりるさんへ
  • from: カコ
コメントありがとうございました。
文章にまったく自信がありませんのでお褒めいただきこそばゆい気持ちです。また昔を思い出しながら書いてゆきますのでよろしくお願い致します。
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